「クレイグ・ジョーンズ凄ぇ~!」 先日、東京両国国技館で開催されたグラップリングイベント「QUINTET」を観た人なら、誰もがそう思ったことだろう。

格闘技フリークが熱く観戦したQUINTET!

マニアックな柔術ファン・愛好家はもちろん、今までジョーンズを知らなかった人も、その動きや極めの強さには衝撃を受けた筈だ。

特にロシア人で構成されたサンボドリームチームから、2試合連続でニーバー(膝十字固め)を極めたシーンは圧巻の一言。

サンビストといえば、かつては足関節技のスペシャリストとして知られており、アキレス腱固めや膝十字固めの豊富なバリエーションは、他の追随を許さなかった。

しかし現在、状況は変わった。

足関節技は、失敗すると有利なポジションを失う「両刃の剣」と言われていた時期があり、柔術・グラップリング業界だが、皆がやらないなら俺がやる、と言わんばかりに、敢えて足関節技を磨く者もいた。

リスクを逆手に技術の継承は日本人がルーツ

それは特に日本人に顕著だったが、その流れは今や欧米人グラップラーにも受け継がれたようだ。

立っているポジションから足を取りに行くと、失敗した時にポジションを失う。

ならば、抑え込んだ状態からなら?

下のポジションからなら?

腕へのアタックを餌にして足を取っては?

そんな様々な試行錯誤を繰り返し、足関節技を武器として磨いてきたのだろう。

今回のQUINTETでも、サンボにはないアンクルロックを餌に、相手が逃げたところをニーバーに捕らえる場面か見られた。

日本人にも“足関十段”の異名をとる今成正和や佐藤ルミナ、今回出場していた所英男など、足関節技の名手は多い。

これは、日本のグラップリングシーンにおいて、重要なポジションを占めていた修斗、ひいてはUWF系プロレスの影響が大きいだろう。

総合格闘技の屋台骨グラップリングはUWFから

UWFは純粋な格闘競技ではなかったが、道場で培われた技術は本物だった。

そして、本物の技術とプロとしての魅せる闘い。それを常に意識していたのがUWF系のプロレスラー達だった。

そこから格闘競技として修斗が枝分かれし、格闘プロレスの行き着いた先にも、リアルファイトがあった。

そんなUWFの流れを汲む桜庭和志がプロデュースしたのがQUINTETだったのだ。

面白くなるに決まっている。

桜庭は膠着を良しとしなかった。

例え勝つための方策だとしても、つまらない試合は悪である。

それが桜庭の価値観。

グラップリングで魅せる!

面白い試合をしてこそ、ファンはお金を払って観てくれる。

所属団体の度重なる倒産を経験していた桜庭にとって、面白い試合こそ正義なのだ。

UWFのグランドを称してよく言われる「回転体」という言葉。

勝ちに拘るが故に、それができないのなら、ルールで回転させればいい。

それが今回のQUINTETルールだったのだろう。

ルール作成には、日本ブラジリアン柔術界の父にして、かつては熱烈なUWF信者だった中井祐樹が携わったという。

柔道方式の抜き試合という形式も、大学時代に七帝柔道に情熱を傾けた中井ならではのアイディアだろう。

QUINTETの登場でグラップリングの認識が変わる?

UWFの影響を色濃く受けた二人の伝説的グラップラーがブレインにいるQUINTET。

グラップリングは分かりにくい、つまらないというライトファンや一般層にも届くものになるだろうことは間違いない。

QUINTETが格闘技に参加しやすいきっかけになり、北海道でも総合格闘技界の底辺底上げに繋がってくれることに期待し、大小関わらずグラップリングをテーマにした大会を注視していきたい。

今、グラップリング革命が始まった!

ライター
  高橋ひろし


格闘技経験なしの観る専門。にもかかわらず、北海道格闘技界には謎に広い人脈を持つ男。